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石井雅勇学院長の対談スペシャル
代官山MEDICAL石井雅勇学院長の2013年対談スペシャル

Special Report 東海大学医学部 入試ガイダンス

原先生去る7月27日(土)、東海大学 伊勢原教育計画部事務室長 原先生による東海大学一般入試及び一般編入試験の入試ガイダンスを行いました。大学の先生による直接の学校説明や入試概要説明に生徒達は熱心に耳を傾け、質疑応答では予定時間をオーバーするほど積極的に参加をしていました。先生からの具体的な入試概要の説明に生徒たちも実際の入試に対して現実味を覚えたようで、より引き締まった表情を浮かべていました。

■日程:2013年7月27日(土) 15時〜16時
■講師:原義徳先生(東海大学伊勢原教育計画部事務室長)
■アジェンダ

  1. 東海大学について
  2. 医学部について
  3. 医師になるまでの道のりについて
  4. 求める生徒像
  5. 医学部のカリキュラム
  6. 海外留学制度
  7. 一般入学試験について
  8. 神奈川県地域枠入学試験について
  9. 一般編入学試験について
  10. 学費について
  11. 質疑応答

■ガイダンス内容(抜粋)

1.東海大学について

東海大学は1942年創立で、全国の10か所のキャンパスに18の学部、77の学科があります。全学部で3万人くらいの学生がいて、教員も2千人くらいいます。医学部がある伊勢原キャンパスは、神奈川県の伊勢原にあります。総合大学で多様な学部の学生と勉強することも医学部の学生にとってもいいことであると思います。総合大学ならではのプログラムも用意してあります。

2.医学部について

東海大学医学部は1974年に創立されました。日本の80の医学部の中で、最も新しい医学部の中の1つです。歴史はそれほどありませんが、古いことにこだわらず新しいことをどんどん取り入れようという大学です。
現在の学生数は669名。入学定員は113名ですが、2年生で入る編入学の学生がいますので、1年生は89が在学しています。入試では、約2割が付属高校から進学、約3割が編入、そして残りの約5割が一般入試からの入学者になります。昨年新設した地域枠で3入学している他、東海大学の他学部から転学部してきた学生が4在学しています。
東海大学の1つの特徴として、幅広い年齢層の学生を受け入れていることがあります。もちろん18歳、19歳の学生もいますが、社会人を経験した後で入学してくる学生も多数います。高校では同じ年の人たちだけが同じクラスにいましたが、大学になるとご両親と同じような年齢の方とも一緒に勉強することがあります。いろいろな年代の価値観に触れることができ、いろいろなことが学べて面白いと思います。現在の男女比は6:4ですが、特に割合を決めているわけではありません。
教授から助教のいわゆる教員のほかに、医師となって3年目〜5年目の「臨床助手」が150人くらい、1年目〜2年目の臨床研修医が100くらいいます。この臨床助手と臨床研修医も臨床実習では学生の指導も行いますので1000くらいの教育スタッフが学生教育に携わります。また、施設として4つの病院をもっています。

3.医師になるまでの道のりについて

医学部は6年間の課程ですが、1年生から4年生までの教育が終わったところで共用試験を受けていただきます。この試験に合格しなければ臨床実習へ進めないというシステムです。医学教育は、前の学年でやったことに積み重ねていくという学問体系になっていますので、進級判定は厳密に行っております。評価は絶対評価を行いますので、必要要件を満たしていれば全員が進級することが可能です。そうすることによって学生同士が教えあうような環境、一緒に勉強できる環境ができてきています。
6年生の卒業試験に合格し、医師国家試験に合格すると医師免許を取得できます。その後、臨床研修医として2年間、いろいろな科をローテーションで回りますが、この2年間の臨床研修を終えないと、医師免許が有効になりません。さらにその後3〜5年間、専門の診療科での研修があります。ここまで含めると、医学教育は11〜13年くらいかかるといってもよいでしょう。
毎年、東海大学は110名くらいの学生が卒業しますが、東海大学医学部付属病院では研修医の採用枠を現在50に指定されていますので、卒業生のうち約半数が東海大学の付属病院で研修をおこないます。東海大学医学部付属病院は、非常に高い評価をいただいています。ダイヤモンド社が出している「頼れる病院ランキング」で2009年〜2011年まで全国で1位でした。2012年は2位になってしまったんですが、高い評価には変わりないと思います。東海大学医学部付属病院は特定機能病院として急性期を中心とした病院ですので、病床稼働率は100%に近い状況でとても忙しい病院です。また、ドクターヘリを使って年間400件くらい、救急車では年間7000件以上の救急搬送があります。新しい患者さんがどんどん来ますので、研修医にとっても学生にとっても、たいへん勉強になる病院です。卒業生は東海大学で研修するものの他に、人気の高い病院にも採用されていますので、卒業生は高く評価されているのだと思います。

4.求める生徒像

東海大学医学部では、学生に次のようなことを求めています。
1つ目は、特別な能力ではなく、ごく普通の一般的な学生であってほしいと思っています。「ごく普通」というのは定義が難しいことではありますが、当たり前のことをきちんとできればよいと思います。例えば、朝ちゃんと学校に来られるとか、挨拶がきちんとできるとか、常識的なふつうのことが最低限できる事が必要です。
2つ目は、基礎学力と基礎体力を備えていること。基礎学力はいま皆さんがしっかり勉強されていると思います。体力については、入学してからでもかまいませんので一生懸命体を鍛えてください。
3つ目は、他人の気持ちを察することができる感性を持っていることです。医師は人間を相手に仕事をしていますから、患者さんの気持ちですとか、医療に携わる医師以外の職種の方の気持ちを察して行動ができる、そういう感性があるといいと思います。
4つ目は、他人とのコミュニケーションがとれる、協調性と指導力がある人。指導力というのはだんだんと身についてくる部分もあると思いますが、やはりチーム医療の中で他の人とのコミュニケーションが出来なければいけません。
5つ目は、自らの考えで自分の進路を決めていることです。例えば成績がたまたまいいので医学部に来ましたとか、親に言われて仕方なく医師を目指しましたという学生が中にはいます。厳しい医学教育の途中で挫折した時に、自分がやりたいという気持ちのある学生はまた立ち上がれますが、そうでない学生はそのまま脱落してしまうことがあります。自分が医学の道を選び、最後まで医学の道を貫きとおせることを求めています。 6つ目は腰を据えて学ぶことに向き合っていくことです。当たり前のことですが、しっかりと勉強する習慣を身につけておいてほしいと思います。
7つ目は、能動的、積極的に行動できることです。医学部の勉強は受け身では身につきません。講義で学べる内容は限られていますので、自分で積極的に勉強しようという姿勢がなければなかなか最後まで学びきれません。自ら学ぶ姿勢を持ってほしいと思います。
8番目は、社会にいつも目を向けていること。医学の勉強は大変ですが、医師になった後は、いろいろな人たちと接することになります。特に患者さんにはお年寄りも多いですから、そういった方たちの社会的なバックグラウンド、経済的なバックグラウンドは医療に非常に重要な要素になってきます。今の景気がいいのか、悪いのかも医療には影響します。そういったことにもちゃんと目を向けられるような学生であってほしいと思います。
9番目は決してへこたれない精神を持つ人です。入学試験で失敗したり、入学後も留年したりする学生もいますが、そんなことでめげず、最後まで医師への道を歩んでほしいと思っています。
10番目は、国際社会に通用する高い語学力を有している人。医学に限りませんが、社会はグローバル化が進んでいます。こうした社会の流れを捉えられるような視点を持ってほしいと思っています。そのためには語学力特に英語は重要であると考えています。

5.医学部のカリキュラムについて

東海大学医学部の教育の目標は『良医の育成』です。幅広い視野に立ち、広範な知識・確かな技能・豊かな創造性を持つとともに、社会的役割を認識し、人に対する尊厳を忘れない人間性豊かな医師の育成を目標としています。実際にカリキュラムを組む際に@豊かな人間性A社会的役割の認識B倫理的・創造的思考力C医学的知識D実践的技能Eグローバルな視点の6点を念頭に置いて組んでいます。
1〜4年生では実験や実習もありますが基本的には講義が中心の授業です。最近はパワーポイントを使って授業が行われているので授業の進みが早くなっていますので、しっかり授業に出席して授業の中で分からないことを解決してもらいます。特に低学年では基礎的な講義が多いので医師となるモチベーションを高めるためにも、初期病院研修で救命救急センターの当直や手術室や病棟での実習等で臨床の現場を経験してもらいます。大人数の講義以外にスモールグループでの授業も多くなってきています。1年生の医学英語や4年生のPBLでは、6〜7人に1〜2名の教員がついて授業を行います。5年生になると1年を通じて臨床実習です。クリニカルクラークシップと言っていますが、かつて行われていたような見学型の臨床実習ではなく診療参加型の臨床実習を東海大学ではいち早く取り入れています。5年生では全ての診療科を回っていきます。6年生になると選択制の臨床実習になりますので、将来の希望や学生個々の希望にあわせた臨床実習をしてもらいます。開業医のところに行く場合もありますし、海外で行う場合もあります。

6.海外留学制度

東海大学医学部の海外留学制度は語学研修ではありません。5年次の臨床実習のうち、3カ月を海外の協定大学で臨床実習をすることができます。いきなり留学は難しいという学生の場合には、東海大学のハワイにある施設を使って、ハワイ大学の学生等と英語で問診やプレゼンをするトレーニングを行うなど、英語力の向上や外国の医療に触れられる研修も用意しています。

7.一般入学試験について

昨年は60名の募集に対し、4456名の出願がありました。そのうち、受験者は3762名、一次合格者は367名、正規合格者は65名、繰り上げ合格者は45名、計110名合格ですので、実質倍率は34.2倍です。合格者は現役と1浪生がそれぞれ3割くらい、残りが2浪以上です。
2014年度の一般入試A方式の募集人員は70名。一次試験は2月2・3日で、いずれか都合のよい日を選べますし、2日間とも受験することもできます。2日間受験した場合は、合計点が高い方で判定します。二次試験は2月8・9日で、出願時に選択していただきます。
一次試験は英語150点、数学100点、選択科目(理科)1科目(その場で選択してもらいます)100点です。適性試験は2014年度入試から廃止しました。出題の傾向は基礎的な問題がメインですので、高校の教科書レベルと考えてください。対策としては、過去問演習が有効であると言う学生もいます。教科書レベルの比較的平易な問題が多いため、満点が取れる受験生もいます。出題傾向はあまり変わっていませんので、過去問題を何年分かやると傾向がわかるのかもしれません。
二次試験は小論文と面接です。小論文ですが、30分で500字以内の小論文です。去年は入試資料にもあるとおりムンクの絵とフェルメールの絵を見て課題に沿った文章を書いてもらいました。一昨年は相田みつおさんの詩を読んで文章を書いてもらったのと、10年後の医師になった自分に宛てた手紙を書いてもらいました。あまり難しいことを書こうと思わず、500字をきちんと書いてください。面接は約10分で、受験生1人に対して面接官2人です。特に難しいことも聞かれないと思いますし、口述試験もありません。

8.神奈川県地域枠入学試験について

また、昨年は神奈川県地域枠入試を新設しました。出身地は不問ですが、将来神奈川県で医師として勤務していただく方を募集する枠です。募集人数は現在3名です。一次試験は大学入試センター試験を利用します。リスニング含む英語(250点)、数学TA(100点)、数学UB(100点)、理科2科目(各100点で200点)を使用します。二次試験は一般入試と全く同じ小論文と2回の面接になります。2回目の面接は地域枠に特化した内容で行います。2013年度入試では137の出願に対し、101が1次合格で、補欠繰上げも含めると10名の方に合格を出し、倍率は13.6でした。神奈川県地域枠入試は一般入試との併願も可能です。現浪比は現役が2割、1浪が4割、2浪以上の方が4割でした。

9.一般編入学試験について

編入学試験は募集人数が30名から20名にしました。また、二次試験科目からグループ討論を廃止しました。一次試験は英語と適性試験で100点ずつ、二次試験の面接は200点で評価します。例年、編入学試験は15〜20倍程度の倍率になっています。志願者の年齢は20代の方が多いのですが、30代以上の方も結構います。多くの方が大学や大学院を卒業されている方または大学・大学院に在学中の方でした。出身学部は人文系や社会系の方が6割くらいという傾向です。

10.学費について

2012年度から学費を減額し、6年間で3754万円となりました。提示した学費以外は、学債や寄付金等も含めいただいていませんし、奨学金もいろいろ用意しています。医学部奨学金として、成績優秀な学生25名や入学後に生活が困窮した学生5名に対して年120万円を給付しています。他に、卒業後に5年間東海大学が指定する病院に勤務することで返還免除となる特別貸与奨学金を設け、年間100万円を毎年10 に貸与しています。医学部奨学金と、特別貸与奨学金は併用も可能です。

11.質疑応答

Q.東海大学の医学部は他の学部とキャンパスが違いますが、他の学部の学生との交流はありますか?

A.1年生の時は大学のメインキャンパスへ行っていただいて勉強する機会が週に2回あります。そこでは、他学部の学生と一緒に勉強します。2年生以降は必修の医学部の授業になりますので、文系学部の生徒と交流する機会はあまりありませんが、伊勢原キャンパスには健康科学部で看護や社会福祉を学んでいる学生や、医用生体工学科という臨床工学技士をめざす学生も一緒に勉強しています。

Q.1年生が90名で合格者が110名とのことだったんですが…。

A.合格をだしても他大学に手続きされる方など、東海大学に手続きされない方もいらっしゃいますので、110の合格となっています。東海大学では、最終的な繰り上げは電話で確認していきます。今年は3月26日が最終でしたが、3月31日まで繰り上げを行う年もあります。

Q.試験日が2日あって、難易度に差があるかと思います。標準偏差を出しているという話を伺いましたが、どちらかの試験日に合格者が偏るということはありますか?
A.最終的な合格数は同じくらいです。試験日ごとに合格者数を決めていませんので、2日間の受験生をすべて合わせて上位の方から合格を出すようになっています。受験生の数は2日間で変わりますし、出題の傾向も多少変わることがありますので、できればどちらも受験いただいた方がよいかと思います。

Q.適性試験が廃止になるということが、一次試験の学科がより重視されるということでしょうか?

A.適性試験は、以前は面接を実施していなかったときに導入しましたが、一昨年から面接試験を始めたので廃止しました。受験生にとっては、適性試験は対策も立てにくかったと思います。逆に英語、数学、理科はきちんと勉強すれば点数が確実に取れる試験ですので、頑張ってもらった結果をしっかり判定したいと思います。編入学試験ではグループ討論を廃止しました。グループでは個人を判定することが難しくなってきたため、個人を重点的に評価するためグループ討論を廃止し、面接だけにしました。

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